先生

中学生の頃12歳年上の音楽の先生に恋をしていた。 いつから好きだったのかは、もう覚えていない。でもきっと、セーラー服を着ていた3年間、わたしの視線の先にはいつも先生がいたのだと思う。 先生に見て欲しくて、頑張った。 音楽も、勉強も。 それでも先生…

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パソコンのディスプレイを眺めながらマウスをひたすらスクロールして、悠に1時間は経っただろう。さっきからずっと、ワードの画面が上下に流れるだけでちっとも文字は増えていかない。あぁ、もう無理なんだなあと思う。わたしにはもう書けないんだ。 椅子の…

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サヨナラの覚悟はできていた。 背中のリュックサックの中には、わたしの狭いワンルームに散らかしてあった彼との思い出を全部詰め込んである。彼がパジャマにしていたダサいキャラクターもののスウェットや、おそろいのスリッパや、使っていたワックス。捨て…